【10月超会議レポート】世界と日本。「できること」と「変わるべきこと」とは!?

かつて日本のスポーツは「世界に追いつけ追い越せ」と言われていました。
しかし、一時期の日本のサッカーのように海外から協会が視察に来た、というような事例も中にはあります。
そうした点で現在日本のアスリートは世界と比較しても何ら遜色のない、素晴らしい選手たちが多く出てきているんですね。

では、実際に海外という場所を舞台にして活動されている選手たちはどのように感じているのでしょうか?
スポーツ指導超会議、今回は「日本のスポーツを世界に!」というトークテーマでディスカッションと講演をしていただきます!

そこで今回は特別ゲストとして……。

現在NCAA D1にて活躍する、アイスホッケー日本代表の三浦優希選手
バスケットボールの中でも最高峰のリーグの一つであるスペインリーグに挑戦中の草野佑太選手
バレーボール世界ランキングで1位にもなったポーランドリーグに挑戦した高橋頌選手

いずれも「海外組」にお越しいただきました!

日本と世界ってどれだけ違うのか?

まず私たちの中で大きく気になるところは「日本」と「海外」の大きな違いですよね。例えばメジャーリーグが海外サッカーは様々な違いを多く語られますが、ホッケー・海外バスケ・バレーボールは決して多くを語られません。

早速、この環境の違いについてそれぞれコメントをいただきました。

海外でのスポーツの環境の違い

三浦選手:育成システムが違う。リンクごとに自分たちのチームをしっかりと持っていて、年代ごとにどうするのかというのを育成メソッドが確立されている。
日本だとそういうメソッドや育成方針が浸透していない。

草野選手:同じく育成が違う。小さな頃からトップチームのコーチが見てくれている。一貫して教育するというのを感じる。日本も取り入れようとしているが、時間がかかるのでは?

高橋選手:海外の選手は個人個人で動くことが多い。プロとしての意識もすごく高く感じる。環境含めて、個の強さが求められている。スポーツがビジネスとしてちゃんと成り立っている

三浦選手と草野選手はやはり海外のトップレベルに位置するからこそ見えてきた、選手育成のメソッドについて話してくださいました。やはり強い国には、しっかりとした育成メソッドがあるのだと痛感しました。
実際にスペインのサッカーは8歳から戦術練習をやらせるのだそうです。チームスポーツとしてのメソッドをしっかりと学ぶためにこのようにしているのだとか。

アメリカでもNBAで活躍している八村塁選手もまた、大学で学問を重要視していたとのこと。実際に、1年時はトレーニングに専念する意味合いもあり試合にほとんど出ていませんでしたからね。

そして、高橋選手より出たプロ意識。「プロのスポーツ選手は個人事業主」という言葉がありますが、自分の居場所は自分で勝ち取らねばならないという意識が浸透しているというのをありありと感じました。

海外での練習方法の違い

では、実際の練習と環境はどうなのでしょうか?

三浦選手:環境もほぼプロに近い。練習時間はNCAAは限られていて、スポーツだけでなく勉学も重要視されている。スチューデント・アスリートとしての意識の高さも求められている。

草野選手:バスケが生活に根付いているかどうかが問題。ヨーロッパだとパブリックビューイングでもホームチームのユニフォームを着て、一つのコミュニティとして成立している。

高橋選手:日本と比較してもポーランドはスポンサーがとても多い。
あと、練習時間も限られている。短い練習時間の中で、いかに集中してやるか。個別の練習は少な目で、いかに全体の中で個々のスキルを織り交ぜていくのかを考えていく練習という印象。

こちらは肌で感じたことを丁寧にお話してくれました。

三浦選手は非常に学生であるという意識も強くあるからこそ、勉学にも励む。NCAAはアメリカでも人気スポーツがいくつもありますが、こうした中にいるからこそ、トップリーグでも活躍ができるのでしょう。

草野選手はコミュニティとしてのバスケを語ってくれましたね。実際にヨーロッパは球技のレベルがどれも総じて高く、またエンターテインメントとして一つ成立しているという側面もあります。イングランドのプレミアリーグもまさしくそのような印象を受けますしね!

また高橋選手はより練習に少し踏み込んだ内容をお話してくださいました。

意外と個々の能力よりもチームとしてどういう形で勝利するか。やはりバレーボール世界一のポーランドだからこそ、こうしたコンビネーションを磨くということも極めて重要だということ、加えて効率良く個々の能力を高めていく。これが大切だということなのでしょうね!

日本のスポーツのレベルをさらに上げるには?

このようなシェアの後、私個人が感じたのは、日本のスポーツにおいて今後も間違いなく「部活スポーツ」はなくならない、ということです。

実際に今、陸上競技ではシューズの進化も相まって選手たちのレベルが極めて高くなっているんですね。ただ、これは指導者の方々がしっかりと学んでいるからに他ならないと思っています。

こうした部活動の顧問の方でも大変に優秀な方々がいらっしゃるからこそ、今後よりこの「学校」「部活動」というフレームワークをどう使って行くべきか。ここも考えていくと、発展が進むのではないか。このように思いました。

これからの課題・持ち帰りたいこと

また、先ほどの陸上のように個々の能力は上がっていても団体スポーツでは中々勝てていないのが現状です。野球が2019年に世界一になった、だけなのが実情ではないでしょうか。

こちらについても、各3選手がお話してくださいました。

三浦選手:チームスポーツは世界で勝てていない。団体スポーツでの試合は自分の長所に固執しすぎないこと、本物の競争を知らないことが多い、アメリカでは毎試合勝つか負けるか分からない戦いが多い。
育成システムを含めて、日本のホッケー界に還元できればと考えている

草野選手:イレギュラー・逆境に陥った時に挽回ができない。創造性や柔軟性に欠ける。コーチに言われるだけではなく、自分の個性を崩さないでプレーすることが課題だと思う

高橋選手:今のバレーボールには選択肢がない。プロ選手として活動できる環境を作ってあげることが、総合的にレベルを上げていくことにつながると思う。
日本は型にこだわったバレーボールをするが、日本のVリーグでは海外のトッププロの選手のプレーをエッセンスとして取り入れるべきだし、遊び心を取り入れてみても良いと思う。

これもまた、各業界に別れた三者三様の回答となりました。ただ、三浦選手と草野選手が指摘していることは、総じて「指導者の勉強不足」という点。また、選手たちが型にはまりすぎているという点を指摘しておりました。

また、実際に草野選手はこのようにもコメントを残してくださいました。

草野選手:こういう話を各競技の指導者が聞くべき。指導者こそアンテナを張って聞くべきで、学んでほしいと思う

実際に今、様々な情報を動画で手に入れることができる時代です。それだけに、指導者もまた様々な勉強が必要となっているわけです。だからこそ、草野選手もこうして警鐘を鳴らしたのでしょうね!

日本のスポーツ発展のためにできること

実際に、選手個々人のレベルというのはここ数年高くなっているのは事実です。

一方で指導者のレベルが上がらない、これまでの既得権益(学閥など)が多くあるのもまた事実でした。

ただ、近年ではサッカーでも海外で勉強をされた方が監督を務めているように、徐々にレベルが上がっているのも事実。

また、京口紘人選手のようにYouTuber活動をされている方も多くいらっしゃいます。こうした人たちが発信・指導を通してレベルを向上させていく可能性に期待しながら、ただアンテナを張るためにはどうすべきか。
そこが問題になってくるのではないでしょうか。

例えば、海外の練習などを見ても日本人は端的に理解ができないかもしれません。

だからこそ、より国際感覚がある人たちが多く発信していくのが大事ではないか?ということと、より早くて正しい情報を伝え続けていく。ここも大切だな、と思いました!

日本から海外に伝えていきたいこと

また、質問コーナーでは大変興味深い質問も出ましたね!

それが「日本人選手が海外に誇れること」であり、「伝えていきたいこと」。

3選手からはこのようにコメントをいただきました。

三浦選手:競技以外のことではコントロールできるし、集中しようと思えばできると思えるほどの環境で国だと思う!
草野選手:選手個人として勤勉なので、(チームの)ピースとしてレベルとしては低くないと思う!
高橋選手:決まり事などを守ることができるので、それをチームの中に落とし込むことができる!

なるちゃんもまた、厳しい環境だけれどだからこそ頑張れることがある、と言うように日本だからということを一つも言い訳にしない姿勢がとても印象的でした。

元々限られた制約の中で何かを作り出していくことを得意とする民族と言われているだけに、むしろ日本人だからこそできることというのもまた追及することの大切さを知りました!

まとめ

いかがだったでしょうか?

今回はいささか長くなってしまいましたが、日本人だから世界で勝てないということは間違いなく今の時代無いですし、日本人だからハンデをくれるというのが競技ではありません。

様々解決しないことや改革を要することが大変に多いスポーツ界に、これが一石を投じるきっかけになれば。私はそのように思います。

次回の超会議もまた、大変楽しみですね!