【3月超会議レポート】メディアの視点から見たスポーツの価値を広める方法とは?

スポーツを一つとっても様々な要素がありますよね。
競技として自らを追い求めるだけでなく、そのパフォーマンスを見て感動するファンも方たちも居ます。
競技としてだけでなく、エンターテインメントとしてのスポーツ。

こうしたものを支えているのが「メディア」であるわけです。
今回はかつてフジテレビのスポーツ番組でも活躍され、現在はフリーアナウンサー・スポーツジャーナリストとしても活躍されております田中大貴さんにお越しいただきました。

世の中にとってのスポーツの価値とは?

最初の質問として世の中にとってのスポーツの価値を聞かれた時、田中さんは突然エイベックスのビルについて話を切り出します。

かつて浜崎あゆみさんやEXILEなどを輩出したエイベックスは音楽でビルを建てました。しかし、スポーツはまだ建っていないという事実は確かにあります。
しかし、感動を与えるということと人々を集客させるという点において、スポーツも音楽も同じエンターテインメント産業として同じはず。

そして、ビジネス的な面から切り分けてみてもスポーツというのはまだまだポテンシャルに溢れた産業と言えるわけです。しかしながら、日本ではそれが遅れているというのが事実としてあります。実質的に「プロ」として生活できるのが野球くらいですからね。

近年では、サッカーを紹介する番組が地上波での放送を終了し、他にもスポーツ中継は大きなイベント以外でも低迷しているのが現状(現在、サッカーの日本代表も60%をたたき出した時代から、現在では10%を下回っているのが事実です)。

一方で、スマートフォンなどの発達もありそうした面での伸びしろや、また将来的なポテンシャルの高さがあることも見逃せません。フィギュアスケートでは本田望結さんのように芸能活動と並行して活動している選手もいらっしゃいますし、陸上選手でも神野大地選手のように「プロランナー」として活動される選手も増えてきております。ちょっと前だとプロレスラーも多くテレビ番組に出ていましたが、人気商売だからこそなのかもしれません。
決してオワコンなどと呼ばれるような、そんなコンテンツで無いことは紛れもない事実なんですね。

では、スポーツの価値を高めるにはどうしたら良いのでしょうか。実際に現在ではアスリートが身近になってきていることは見逃せません。

その象徴として昨年より「アスリートYouTuber」も多く増えてきましたが、これには田中さんは警鐘を鳴らします。というのも、現在かつてテレビに出ていたタレントさんが多くYouTubeに流れ、それによってスタッフさんの質も動画の質も圧倒的に高まってしまったため。

「生半可な気持ちでやると『やらなければ良かった』ということに繋がりかねません」とメディアの視点からコメント。

その上で、よりスケールアップさせるために、準備をしておかなければならないことが沢山あると語ります。どうすれば見てもらえるか、スポンサーが付くのか。こうした思考力がないと競技そのものを続けることが難しくなると語っておりました。

発信する力。こちらがとても大切であることを改めて感じますね。

ターゲットはどこで・何のために。志と理念も大切になる。

YouTube一つ、アスリートという個人一つとっても一つのメディアとして思考することの大切さが浮かび上がってきますね。

では、具体的に発展させるためには?

スポーツというのが世間ではどのように見られているかと言いますと、実際に人間の生活において「必ずしも必要でないもの」ということを認識しなければなりません。バブル崩壊後、多くの企業スポーツが採算が取れないという理由で廃止されました。

佐古賢一男子日本代表アシスタントコーチがFIBA殿堂入り | 月バス.com
「ミスターバスケットボール」と呼ばれた佐古賢一さん。バブル崩壊後に「採算が取れない」という理由から割を食った一人でした。

これはかつてバスケットボールのノンフィクション小説で有名な「ファイブ」でも取り上げられた有名な話ですね。ですが、田中さんはどうもそうした考えではないようなのです。

むしろ近年はどの企業も人材難のため、スポーツを頑張っていた人や現在スポーツを頑張っている人たちなどのために機会を作り出したり。むしろ企業側が求めているようなのです。

実際に田中さんもそうした部分の業務に現在携わっているのだとか。

その中で痛感したのは「リスペクトをされる」ということ。人として評価をしてもらうことの大切さを説きます。しばしばヨーロッパサッカーやメジャーリーグ、NBAなどで見られた問題児と呼ばれる選手のように、アスリート=野蛮といった風潮や、勝つためなら手段を厭わないドーピング。我の強い発言などがメディアをにぎわせますよね。

ですが、こうした物は必ずしも万人に受けるものではないことも事実です。

かつてACミランなどで背番号10を付けていたクラレンス・セードルフは「サッカー選手は模範となるべき」と語っていたように、尊敬され応援される選手となることもまた、大変に重要だということを知るべきでしょう。

低弾道「ナックルFK」の衝撃… 元ミラン10番の語り継がれる一撃「なんて美しい」 | フットボールゾーン
クラレンス・セードルフ。
異なる3か国でヨーロッパチャンピオンに輝いた唯一の選手です。

実際にセードルフは現役時代、極めて我が強くその発言がメディアを騒がせてしまうということも多くありました。

しかし、それらは加齢とともに落ち着き、現役引退間際の2011年には母国オランダにおいてナイトの勲章を授与されるまでに至り、ニューヨークタイムズでコラムを連載するほどのインテリとしても名を馳せました。

もちろんすべての選手がセードルフのような成功を収められるわけではありません。ですが、アスリートとして長く活躍し多くのファンからの尊敬を集めたことは紛れもない事実です。

アスリートが現役生活を長く過ごすための重要な秘訣として、田中さんは「多くの人に出会って、夢を語ってほしい」と語ります。培ってきた知識・経験と出会ってきた多くの人々。様々なことを学び感じ取る必要性。そこに人間的な魅力が生まれるわけなんですね。

そして、最終的に個人と個人が多くつながることでやがてビジネスとなって行く。先ほどのYouTubeではないですが、そちらを一つとっても相当の思考が要求されることになりそうですね。

長く続ける。そのためにできることをこれからはアスリートも多く求められてきそうです。

こぼれ話

言うまでもないことですが、田中さんはメディアの仕事をされていた方です(深夜に見る「すぽると」は、自分も楽しみの一つでした)。だからこそ、選手と接する上で気を付けていたことも聞かれると、語ってくださいました。

「また会いたいというのとまた話したいな、と思ってくれることと、インタビュー中は自分を捨てることを意識していました」

と言います。それは自分の後ろ側に何万・何十万というファンが居ることを忘れないということ、その上で一つの質問に対して、相槌を打ち続けていくだけでインタビューが終わって行くというのが理想的な物とのこと。

一つのシーンを切り取っても、どれだけ選手をつぶさに観察できるか。そうした面も「伝える」ということを仕事にされている方の矜持を感じさせる物でした。

一つのエピソードを語るにしても思わず聴き入ってしまうほどの素敵なエピソードが散りばめられていましたね。

そんな田中さんだからこそ、未来のスポーツ業界のために今取り組んでいらっしゃることがあります。

それが「メディアを多く作ること」。元々テレビという多くの方が見られる場所にいたからこそ、アスリートやジュニアアスリートと言った選手たちにスポットライトを当てるメディアを作り出していくこと。これからの時代が「動画」であるということも見越したうえで、現在も活動されております。

更なる活躍と発展に期待したいですね!

まとめ

いかがでしょうか?

近年ではウェブメディアでもTwitter出身の戦術アナリストやライターが多く出てきておりますし、また選手たちも発信するということができるようになってきた時代です。

そう考えますと「発信する」ということにおける意味合いと重要さ。また、誰に届けたいのかを明確にしていくことが大事になると感じましたね。

文字も読む時代から「見る」時代になってきたと言われています。それだけに、自分もまた深く考えさせられる回となりました。

田中さん、この度は貴重なお話をありがとうございました!