【12月超会議レポート】スマホ一つがぼくらのコーチに!?

スマートフォンでフォーム解析。かつては「経験」と「見る目」という数字で表れていなかった部分が見える化されていることは紛れもない事実です。それを「見える化」するアプリを開発されてきたのが、株式会社Spotip。

今回も代表取締役社長であります高久侑也さんにご登壇いただき、「時代の進化に合わせたスポーツ指導能力」についてお話をしていただきました!

その前に……。Spotipの説明から!

高久さんは筑波大学体育専門学群を卒業後、“筑波大学発ベンチャー”として2018年にSportipを創業します。

実は筑波大学は元々動作解析を20年以上前から行っており、かつて西武ライオンズを始めとする3球団で日本一を達成した、工藤公康さん(現ソフトバンクホークス監督)の投球フォーム分析にも携わっておりました。

他にも「動作解析」を始めとした、スポーツ科学における第一線を歩んでいる大学でもあります。

実際に「筑波大学にあるデータや理論を大学の先生たちと協力しながら、スポーツやリハビリなどの動きにフォーカスをしてサービスを展開しています」とのこと。

そんな高久さんたちが開発したSportip Proはプロフェッショナルな指導者の方に向けた動作解析のアプリケーション。

では、ここからSpotipがどのようにして選手たちのハイパフォーマンスをアシストできるのかを見ていきましょう!

Spotipから見た「コンディショニング管理」

その前提として、ハイパフォーマンスを妨げる障害は多岐にわたります。
怪我・イップス・バーンアウト・環境の不足。様々ありますよね。その中で大切なのがコンディションを管理するということ、これは何よりも重要です。

 それらは、

・トレーニング

・食生活の改善

・成長と食事、トレーニングのバランス

・月経周期の把握

・トレーニングと休養のバランス

・疲労回復

こうした様々な要素を抑えねばなりません。では、動作解析によるコンディション管理とはどういったものがあるのでしょうか。

例えば、いつもと異なるフォーム。他にもいつもよりもトレーニング内容の負荷が軽い。こういったところからコンディションを判断することが可能となりますよね(吉田沙保里選手のコロナウィルス感染はトレーニング中に抱いた違和感からだったと言われております)。

Spotip Proでは、実際にコンディションのチェックを行う機能も付いております。

まずROMテスト、そしてパフォーマンステスト。この2つを実装し、現場の方々に提供をされているとのことです。

ROMテスト

ROMテストは

①関節の動きを阻害している因子を発見する
②障害の程度を判定する
③治療法への示唆を与える
④治療効果の判定をする

以上4つの判定を行うことができるわけです。関節の可動域よりコンディションを確認するROMテスト。

このROMテストはこれまでは手作業で行われていた関係で大きかったブレがスマートフォン一つで解析できるようになり、正確にコンディション測定を行うことができるようになった、というわけなんですね。

それによって、野球の指導では投手のケガを高精度に予測することが可能となり、未然に怪我を防ぐことができるようになったのだそうです。また、ランニング指導では競技者に合わせた指導を行うことができるようになりました。

他にもサッカー選手のパフォーマンス力向上にも役立っているとのこと。

パフォーマンステスト

またジャンプテスト、とも言われるコンディショニング管理のテストは下肢の筋発揮能力を確かめることで、ジャンプした時の加速度からハイパフォーマンスを予測することができるというもの。

特にRJと呼ばれる「リバウンドジャンプ」とCMJと呼ばれる「カウンター・ムーブメント・ジャンプ」の二つを計測することが可能という優れものなんですね。

「リバウンドジャンプ」は簡単に言えば、時間をできる限り長くして飛ぶ競技、例えばスキージャンプなどのような瞬発力が求められる競技で重要視されると言っても良いでしょう。

一方で「カウンター・ムーブメント・ジャンプ」はいうなれば「垂直跳び」。陸上選手の短距離や跳躍選手は非常に個の能力が高く、またウエイトリフティングやビーチバレーの選手もこの競技での数値が高かった。このような報告がアトランタオリンピック日本代表選手のデータより明らかになっております。

この二つを同時に評価させることがSpotipでは可能となり、選手に合わせた指導がより容易になるのだというのです!

高久社長曰く「簡単に計測ができる!」というのが本当に嘘みたいなほど、ここまでテクノロジーが進化しているのが、私自身もとても信じられないほどです。

では、この数値をしっかりと理解したうえで指導を行うことが必要となるわけですが、具体的にトレーニングなどにどうやって落とし込むのか?

この課題をさらに高久社長は語ってくれました。

トレーニングの負荷やランニングフォームも「見える化」できる!

近年、トレーニング方法はPBTよりもVBTが重視されていると聞きます。あらかじめ決められた量をこなすVBTでは、デメリットも多いことで知られます。日常によりコンディションにばらつきがある我々にとってはむしろ実際の負荷なども異なり、決して信頼できるデータを取ることができないからなのです。

そのため、既定のスピードより外れた場合負荷容量を調節するPBTと呼ばれる手法が大変注目されています。実際にスポーツ科学でも同様のウェイトトレーニングを行ったことによって、パフォーマンスの向上が認められたという結果が大きく現れ、より効率よくパフォーマンスを高めることに繋げられることもトレーリング理論で証明されつつあります。

と言っても、スピード計測のためには相当なコストが必要となるものです。

実は、Spotip Proはこうした速度も計測が可能。実際にスピードと負荷がどれだけかかっているかも見える化することができるようになるなんて、驚きですよね……!

他にもランニングに関する機能も実装されており、その選手に合った理想的なフォームも解析が可能となっているんです。怪我の予測・ランニングフォームのフィードバック・おすすめの靴まで教えてもらえるのだとか。

動画撮影を行えば、トレーニングメニューの提供や独自のトレーニングメニューの作成やトレーニング履歴の共有にフォローアップをも容易化させるだけのものとなっている。

なんて、なんとも至れり尽くせりなアプリになっているわけですね!

高久社長曰く「毎週アップデートをしています」とのことですが、さらに進化を遂げるとこのアプリなしでは誰もトレーニングできなくなってしまうのでは……。というくらい私自身も進化の速さには驚かされました。

まとめ

驚きました。

自分でも改めて今回こちらを書かせていただくにあたりまして、ここまで進化を遂げていたとは……。もちろんその成長速度こそが研究ノウハウの蓄積などを含めてSpotipという会社の特色なのかもしれませんね。

日本のスポーツはしばしば「海外と比べるとフィジカルで劣る」ということを多く指摘されてきました。しかし、そうであるならば「技術」の観点と「科学」という観点で世界と戦ってきたという経緯があります。

当然、トレーニングも最先端テクノロジーが求められておりますが、その中で高久社長をはじめとしたSpotipの皆様がその先陣を切ってくださっていることが分かる今回の超会議でした。

筑波大学という多くのエビデンスを持たれている研究機関と、それを容易に利用できる時代。選手にも指導者にもたまらない時代がやって来ていると感じております!

高久社長、今回もありがとうございました!