常に何かと力が入ったり、思わず何かから身を守るために防御反応を示したり。そうしたことの多い日常を過ごしている私たち。
ただ、時には思いっきりだら~っとしたい時もありますよね。
とは言っても、なかなかそういう時が無いのも私たちの日常です。そんな中でやはりここは脱力のプロに話を聞くのがベスト。
前回に引き続き、脱力師の小林圭さんのインタビューを掲載。アスリートにとっての“脱力”に迫ります。
「脱力することで見える景色」
皆さんはアスリートの方を思い浮かべるとき、力いっぱいフルパワーでプレーしている姿を思い浮かべるかもしれません。
実際に小林さんは「アスリートの方は体を“締める”ことに関してはとにかく上手だと思うんですよ」と語ります。
確かに、力を込めるということは締めるに近い感覚なのかもしれません。
では、限界まで締め続けてしまえばどうなるか。そこには「無理」が生じてしまいますよね。
そこで「一回緩めることでまた締まりますよね。アスリートの方は、締めるのが得意ならば、緩めるのが上手なぼくが伝えたら、何か変わるのではないか。そう思うんですよ」と語ります。
実際に今シーズン「緩んだ状態」と言いますと少し語弊はあるかもしれませんが、決して本調子でない、いわゆる「締まり切らない」中でも結果を出したアスリートがいました。
それが、先日2000本安打を達成した巨人の坂本勇人選手です。
彼の2000本目の安打は、決してしっかりと振り切ったような形でもなく、体勢を崩された状態からひょいっと拾って安打にしているのが分かるかと思います。
インフルエンザに2度感染し、開幕前には新型コロナウィルス陽性で戦線離脱を余儀なくされながらも、むしろ脱力という状況から結果を残したと言っても過言ではないかもしれません!
では、脱力していると良い部位も中にはあります。次の項目では、こちらについても説明いたします!
脱力していると良い部位とは!?
こちらについて問われた瞬間に、「股関節と背骨」という言葉がパッと出て来ました。
その理由として背骨は27~28個あると言われております。だからこそ蛇のようにゆっくりと動くことができる骨でもあるんです。
ただ、それを「1」として捉えてしまうことによって動きが堅いものとなってしまうわけなんですね。結果としてそこから連動性が生まれなくなって筋肉も硬くなってしまうのだとか。
また、股関節は立っていることで自然と閉まって行くもの。だからこそ、背骨と股関節を中心に緩めるようにしているのだそうです。
股関節と背骨。人間の体の中心をつかさどっている部分だけに意識をしていただきたいところではあるのですが、ここであるサッカー選手のゴールシーンを見ていただければと思います。
世界的名選手として知られるルイス・スアレス選手。彼はフィジカル的なセンスはもちろんですが、非常にしなやかに体を使うことができる選手としても知られています。
いうなれば「上半身と下半身を別々に動かせる」タイプのプレイヤーと言えるのです。ただ、決して連動をしていないというわけではないんですね。
プレーの目的がゴールを決めるという役割である彼は、とにかくマイボールになったらシュートを決めることを原則に動きます。そのため、一見「嘘!?」と思えるようなプレーでも、ゴールを決めることができるわけなんです。
何が言いたいのか、というのがはっきりしていないように思えるかもしれませんね。実はここに「体の捉え方」について小林さんが語っているのです!
身体をどうとらえるか?
例えば、あなたが人間の絵を描くとしたら。どんな絵を描きますか?
小林さんはこれを「頭があって、身体を四角く描いて、足を描いてって描く人って、身体を四角くとらえているんだと思うんですよ」
例えば、最近人気の漫画である鬼滅の刃のキャラクターを見てみましょう。
頭があって、首・肩・肘・指先・腰・腿・膝・脚と描きますよね。
それと体と足ととらえている人では、果たしてどちらが体を脱力できるかと言われたら、やはり絵でもしっかりと描けている、イメージできている人と言えますよね。
では、よりしっかりと脱力をイメージするにはどうしたらいいのか?
さらに深くイメージをするために、ある動物を小林さんは語りました。
脱力の師匠は一体誰!?
「実は一番参考になるのは“猫ちゃん”なんですよ」と語る小林さん。
これにはインタビュアーのなるちゃんも大きく同意するほどでした。
早速、こちらの動画を見てみましょう。
とまあ、感想は置いておいても、動画内の猫ちゃんは全く体に力が入っていませんよね。むしろ背骨と前足だけを動かしてしっかりと衝撃を吸収しながらゆっくりと一段一段降りているのが分かります。
こうして考えていると、猫の体の動きというのは一つ重要なピースとなる気がしますね。
そんな猫ですが、どこまでもマイペースで自分を保ち続けていますよね。むしろ周囲のことなんてお構いなし、と言ったら語弊はありますが猫好きの人はそこが良いと言っている人もいるほどです。
小林さんはそんな猫のようなマイウェイさはもちろんですが、脱力中はとにかく自分にベクトルを向けるべきとコメントしています。
誰かがこうやったから、というのでもなく自分がしっかりと脱力できているかどうかにフォーカスを当てる。ある意味で猫のようにしなやかで自分を保ち続ける、その様こそが大切なのかもしれませんね!
つまり、より自分にベクトルを向けることにフォーカスを当てることができるアスリートだからこそ、脱力はとても親和性の高いものと言えるかもしれません!
さて、今回はここまでとなります。次回はさらに深堀を進めて行きますよ。
それは「アスリートにとって脱力するとどのような恩恵があるか?」について。お楽しみに!
プロフィール
小林圭
20代前半に右膝前十字靭帯を損傷しつつも、アイドルグループの一員として活動する傍ら、様々なレッスンやトレーニングを行う。
自分の体と向き合う中で、心と体を整える為には脱力が重要であるということに気が付き、今まで培ったノウハウと脱力を掛け合わせ、独自の完全脱力メソッドを開発。
アイドルグループ卒業後、多くの方に完全脱力メソッドを伝えたいという想いでK-Studioをスタート。現在は唯一無二の脱力師として、美や動き、健康をサポートしている。