多くのアスリートにとって何よりも気を付けなければならないのは、怪我。
特に素晴らしい才能を持たれた選手であればあるほど、怪我によって惜しくも現役を引退せざるを得なかった選手も多くいらっしゃいます。
とはいえ、本来体の持つキャパシティを超えるほどのプレーは時として感動を呼びますよね。
では、アスリートの最前線の怪我予防とは一体どんなことをしているのでしょうか?
今回、サッカー日本代表などでアスレティックトレーナーを勤めていらっしゃった三木裕昭さんをゲストに招き、お話を伺いました。
ジュニアの時期は基礎体力をつけることが大切!
しばしば、少年野球などでは若くして怪我をしてしまうということがよくあります。中には10代にしてトミー・ジョン手術(肘の靱帯再建術)をしてしまう選手が大変多いのも事実です。
しかも、高いポテンシャルを持った選手であればあるほど、無理が効いてしまって怪我をしてしまうということが多くなります。
だからこそ、その競技に特化した基礎体力をつけるということが大切である、と三木さんは説きます。
例えば、テニスを例に挙げるならば、競技に必要な動作づくりから始まり、最大スピードの向上とそして最大筋力の向上。
これらがすべて合わさって最大パワー筋の向上が大切になるわけなんですね!
基礎体力や専門的な体力を地道に発育させていくことで習得可能な技術や戦術を増やすことになるんです。
かつて100メートル走で日本記録保持者であった伊東浩司さんは、若手時代は筋力トレーニングをしていなかったのだそうです。
それは走法などのフォームのメカニズムとしては合っていなかったとしても、しなやかな動きを失わせないために指導者の方が気を遣い、軽い負荷のものに限定していたのだとか。
大学でも走り込みと跳躍系のトレーニングを集中して行っていたため、本格的に筋力トレーニングを始めたのが社会人になってから。その結果、1998年に28歳にして10秒00の日本記録を樹立しました。
無理に筋力トレーニングを行えば、ハイパフォーマンスを残すことができたのかもしれません。しかし、決して長く現役を続けることもできなかった可能性もありますよね。
若手時代にはしっかりと成長のピークなどを把握することが大切であることがよく分かりますよね!
一方、高校時代は怪我しがちでしたが、プロでは怪我もなく活躍した選手もいらっしゃいます。
ダルビッシュ有投手は高校時代は底知れぬポテンシャルを秘めながらも、成長痛などもあって満足なパフォーマンスを見せることが叶いませんでした。
しかし、プロに入団後は大きく変わり、怪我による離脱は数えるほどにまで減少。怪我をすることで、むしろケアやトレーニングに細心の注意を払いストイックな選手として今ではすっかり有名になっています。
つまり、しっかりと基礎体力をつけ、自分を知る。
これによって怪我を予防・再発を防ぐことにつなげられると言えるでしょう!
では、実際の現場においてはどのように怪我を予防と治療をしているのでしょうか?
次の項目では、こちらも説明いたします。
アスレティックトレーナーの様々な役割
一口にアスレティックトレーナーと言っても、とても多くの役割を求められます。医学から運動生理学にいたるまで様々な知識を持ち、時には治療なども行わなければなりませんし、予防策としてのテーピングもしなければなりません。
特に三木さんがいらっしゃった名古屋グランパスは当時、ドラガン・ストイコヴィッチというユーゴスラヴィア代表のスタープレイヤーも在籍しておりましたし、日本代表では合宿地とプレーする場所がまったく異なる関係で、コンディショニングには逐一気を配らなければならない状況だったということが想像できます。
だからこそ、
1.スポーツ障害の予防
2.トレーニング・コンディショニング管理
3.テーピング
4.障害(選手のアクシデント)発生時の評価
5.評価に基づいた処置
6.リハビリテーション
7.教育
8.管理
9.治療行為
こうしたことを求められているのです。
選手たちの体をトータルサポートしてあげることがとても大切といえます!
実際にこうした経緯もあるせいか、日本代表の選手はフィジカルへの意識がとても高いという話を聞いたことがあります。
温冷交代浴といったコンディショニングの回復からトレーニングに至るまで。
世界トップレベルの選手たちと比較しても何ら変わりはないほど素晴らしいといわれているんですね。
これもまた、三木さんの何よりの「功績」ともいえるかもしれませんね!
選手たちがハイパフォーマンスを出し続けるためにアスレティックトレーナーの存在は不可欠。下の画像にもあるような円を作り出すことは、今はトップレベル選手たちは十分に可能となっております。
しかし、まだいきわたっていない部分もあることが課題とも言えるでしょう。
まとめ
三木さんへのご質問についてもケースバイケースにおけるような質問も飛び、多くの方が興味を持って受講されていたことを感じました。
個人的には、もっともっと細かく、かつケースバイケースにおけるような話から、若年層におけるトレーニングや怪我予防。
こうしたものも聞いてみたい!と強く思った今回の超会議でした。
三木さん、お忙しい中誠にありがとうございました!