東京オリンピックが始まりましたね。
ただ、今現在のオリンピックが取り巻く状況を見ていると、実感の無い人もいらっしゃれば中止を求める人まで、簡単に言えばスポーツの発展には完全に至っていないのが実情です。
今回は各分野に分かれてディスカッションを行い、どのようにすれば発展ができるのかディスカッションを行いました。
現役オリンピック選手からアスリートを支えるコーチやトレーナーに栄養士。
スポーツのビジネスやそのほかの諸々のサポートを行う方。
多くのスペシャリストたちが熱く意見を交わされました(そちらにつきましてはセミナー議事録をご参照ください!)。
こちらの記事では、今年1年の振り返りとこれからの展望を今回はご紹介して参りたいと思います!
皆さんのおかげで、多くの方々にご入会いただけました!
スポーツ指導超会議が始まったのは2020年の5月から。
完全紹介制ということでスタートをした当初のメンバーは45名。なんとこちらは、2021年5月現在で207名の方にご参加いただくことになりました。
その中で交流会は5月時点で21回を数え、オンラインでのイベントも行われ、大変活発に活動をさせていただきました。
交流会などでアスリートの方々や、新しいスポーツを作った方やスポーツをエンターテインメントとしている方。スポーツに携わられていらっしゃる方々のお話を聴くことも出来ましたし、エクササイズシリーズのような楽しめるイベントも行わせていただきました。
このようにして右肩上がりでメンバーの方々が増えて行かれたのは、それだけ個々人で携わるスポーツをより発展させていきたいと考えている皆様のお気持ちがあるからこそ。
私もレポートという形で携わらせていただいておりますが、多くの方のエネルギーを画面越しや文字起こしをさせていただく中で強く感じさせていただきました。
ただ運営をしているだけでは、コミュニティが大きく成長していくわけではありません。私自身もスポーツというコンテンツの素晴らしさと、少しでも良くしたいという想いに応えられるように、より良い形でレポートを書き続けていくことが出来たらと考えております。
各グループで出た課題
セミナーの後半では、各グループにて出された課題とその解決策について発表がありました。
スペシャリストであるがゆえに、明確に見えている課題、また明確な目標があるからこその課題が多く見られたのは事実です。
こちらではそちらの詳細まで触れることは致しませんが、総じて意見があったものについて纏めてみました。
それは
・知名度不足
・知識と情報の不足
・資金不足
・人脈不足
このような物事が上がっておりました。
東京オリンピックにおいてもそうですが、本来であればスポットライトを浴びるべき競技などが、今の情勢からか「やるか中止にするか」といった物事ばかりが議論されており、本来注目されるべきアスリートへの注目が蔑ろにされている。そのように感じてなりません。
また、報道を見る限りですと東京オリンピック終了後は、各協力企業の方々もスポンサー支援を打ち切る動きが見えているという話もあります。突き付けられている課題の中で、間違いなくこれからは行動を起こしていかなければスポーツを取り巻く未来が厳しいものとなることは明白です。
そして、そうした課題と解決へと辿り着くために我々が取り組むべきことは共有しあうということ。
こうしたことが何よりも大切になってくるのではないか、と感じました。
そんな2021年以降のことを考え、スポーツ指導超会議はさらにレベルアップを図って行きます!
これからのスポーツ指導超会議が取り組むこと!
スポーツにはとても素晴らしい価値がある、ということを皆様にはご説明せずとも十分に理解をされているはず。
であるならば、それらを作り上げていくこと、プロジェクトとして動かしていくということ。
代表を始めとしまして各委員会の方々、そしてゲストの方々と様々なことを形にしていくために、現在ではこのような形で超会議のセミナーを通して「スポーツに携わる最先端の学び」を提供し、「スポーツ業界の発展を志す方々との繋がり」、「それぞれの魅力を形にするプロデュース」と言ったところを提供させていただいております。
そして、2021年からはさらに発展させていき、オンライン・オフライン問わないスポーツイベントやレッスン、エクササイズといったスポーツプログラムの提供。そして超会議のメディア発信といった部分にも進んでいくことが出来れば。
そのように考えております。
より、スポーツ業界というものがより良くなるように。スポーツ指導超会議と致しましてもさらに発展が出来ますよう、全力で取り組んで参ります。
皆様、お忙しい中ご参加いただき、誠にありがとうございました!

東京オリンピックも直前に迫ってきましたね。
現在日本人アスリートの活躍は本当に目覚ましく、オリンピックでの活躍は大いに期待したいですよね。
しかしながら、日本では古くから重大な課題が横たわっております。
それは「スポーツ単体で稼ぐということが出来ないこと」。
早くからプロ化が行われていた野球やサッカーでも実際にチームが消滅するという事例があったように、まだまだスポーツビジネスという観点では日本は後進国と言ってもいいくらいなのです。
そこで4月には「どうすればスポーツを文化として普及していくことができるか?」という観点から、
スポーツビジネスのプロをゲストにお呼びました。
株式会社ZERO-ONE代表取締役の葦原一正さんにご登壇いただきました。
日本のスポーツが遅れてしまった理由とは?
本題に入る前に、日本においてスポーツビジネスがなかなか根付かなかったいきさつについて考えてみましょう。
元々スポーツ単体でお金を稼ぐという発想が日本には乏しく、Jリーグやプロ野球でさえもあくまでも企業の広告宣伝の一環でしか無かったということが挙げられます。
これらは1990年代にはバブル崩壊の影響を受けて、多くの企業が運動部の休部と廃部を選択したことも背景にあります。日本におけるスポーツは企業ありきという「弱さ」がまだまだ介在しているというのが現状にある。
この事実から目を背けてはいけないのです。

プロスポーツでも経営をしっかりとしなければ無くなってしまう。そういう時代だったのです。
一方でプロ野球では、かつて黒字で経営をできているチームは12球団中半分も無いと言われておりました。赤字分については、親会社が損失補填して良いという法律があるため、本当の意味で「球団経営」というのが浸透できていないのが実情だったのです。しかし、2020年こそ赤字球団は2球団ほどありましたが、いずれも「会社単体」として経営が成り立つ数字にはなっているようなんですね。
また、変えようにも日本ボクシングコミッションなどに代表される内部での権力争い、学閥や企業内派閥の問題。
これによってなかなか変化ができない、ということも大きな問題として現在まで横たわっているのです。
誰に来てもらいたいのか考え、仕組みを作る
まず大前提として始まったのが「お金を稼ぐ仕組み」を作り上げることでした。
葦原さんは元々オリックスバファローズでも働かれていたことがあり、パ・リーグでの風土というのを知っていたのが大きかったと言えます。
かつて「人気のセ、実力のパ」とも言われたように、パ・リーグは必ずしも注目されてきた存在ではありませんでした。その中で、様々な業界の方々が入ってこられてトライをしたということ。その中で積み上げてきたノウハウや他の球団との情報交換。こういったものが、ベイスターズでもBリーグでも同じようなことをしていたと振り返ります。
試合中に麻雀を始める観客もいたり、試合そっちのけで競輪を見ていた観客もいたとか。
古き良き時代と言えば響きは良いですが、これでは選手側も経営側もやり切れませんよね。
球団の収益が上がれば、それだけ選手やスタッフにも還元されます。だからこそ「お金を稼ぐ仕組み」を作ることが大事だということ。そしてそのためには「どこにターゲットを絞る必要性があるのか?」ということ。「ビジネスでは当たり前のことなんですけれどね」と葦原さんは振り返りながら、Bリーグでの時のこと、何が大切なのかを深く語ってくださいました。
特に印象的だったのが、普及したからと言って儲かることと強化につながることはイコールではないということ。実際にバスケットボールの競技人口の多さと比例して、男子では全く勝てていなかったという実情を語ってくださいましたし、なでしこジャパンが世界制覇した後も必ずしも女子サッカーの環境が改善されたわけではなかったということ。だからこそ、アスリートの方々に「稼ぎなさいよ、ということを伝えていた」というのは大きく納得が行くものでした。

実際にJリーグでもイニエスタ、ヴェルマーレンといったヨーロッパを舞台に活躍していた選手が多く来るようになったのはJリーグというコンテンツが稼げるようになったから。DAZNとの大型契約によって、金銭的に潤ったこと。
イニエスタとヴェルマーレン両選手の所属するヴィッセル神戸の親会社が楽天で、FCバルセロナのスポンサーになるなどして経営的に成功を収めていること。
選手単体ではなく、親会社や協会なども稼ぐということをバックアップしていく姿勢が何よりも大切であることが良く分かりますよね。だからこそ、葦原さんは「そもそも“スポーツビジネス”と分けてしまっていることがおかしいのかもしれない」と前置きした上で、対戦相手が居るからこそのスポーツの特殊性はあるけれども、実際ビジネスにおいての特殊なことはそれほど感じてはいないようでした。
ビジネスにおいて4つの収入(チケット・グッズ・広告・放映権)を伸ばしてコツコツやれば良いだけで、それほど他のビジネスと変わらないと語る葦原さんの言葉には説得力と重みがありましたね。
とはいえ、まだまだスポーツ界だけに限らず「それで稼ぐことが悪いこと」と考える風潮が無いわけではありません。そのような風潮などを含めて、スポーツ業界における課題についての話題となりました。
忖度なく、日本のスポーツ業界の課題に切り込む!

スポーツ業界における課題は「ビジネスとガバナンス」にあると葦原さんは語ります。実際に、意思決定機関がガバガバな会社はいくら収益があったとしても最終的には経営破綻に繋がります。それは過去の事例を見ても明らかですし、今現在危機を叫ばれている競技はこのガバナンスに重大な欠陥を抱えている組織が多いことが事実です。
何かを改革しようと思っても「お金が無い」などの理由を持って改革を断られることもしばしばあるスポーツ業界に対して、葦原さんは厳しくそして重たい言葉を投げかけます。
「逃げるんだよ。大人たちは。金が無いなら作れば良いだけの話」
もちろん協会関係者の方などが改善を試みている人たちがいらっしゃることは事実でしょう。しかし、2011年より端を発している日本ボクシングコミッションの問題、大相撲の問題。そして、直近であった森喜朗前東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会会長の問題。こうした大きなことから、私たち自身に至るまで。帰結するのは「問題から目を逸らして保留し続けてきた」ということ。
そして、本当に物事を変えて行きたいのならば目の前にあること、求められたことに全力で取り組んでいくということ。運営側もアスリートが本来持っているポテンシャルを最大限に発揮していかないと、世界は変わって行かない。スポーツ業界で長く続けてきたからこその言葉であると感じましたし、自分にもとてつもなく響くものでした。
また、かかわって来られたからこそ葦原さんもスポーツに秘めた多大なる可能性を信じている方です。
4月より初代代表理事を務めているハンドボール協会において、一つまたビジネスモデルとして形を確立させることに加えて多くの人たちがスポーツに触れることができる機会を作るために「ハード面」に興味を持っているのだそうです。
それはヨーロッパにおいてスポーツの位置づけの高さから来るものですが、やはり街の中心部にスタジアムやアリーナがある光景。それに夢を見て少しでもスポーツの取り巻く環境を良くしたいと考えているからこそなのだということ。だからこそ、言葉一つにとても重みを感じるのでしょう。
まとめ
いかがだったでしょうか。
葦原さん曰く「コツコツとやってきただけで、あとは縁なんです」と謙遜されていましたが、今までの方々とは異なった「本質的にある問題」に向き合い続けて変えて来られたからこその重みを感じました。
忖度なしでズバリ断じる姿は聴いていても痛快でしたし、むしろ「何でやらないの?」という姿勢と変えて行きたいという本気度を垣間見た気がいたしました。
自分もスポーツだけでなく今あることをしっかりと取り組んでいきたい。
そのようなことを感じた回でした。とても素敵なお話と機会を作っていただき、ありがとうございました!

スポーツを一つとっても様々な要素がありますよね。
競技として自らを追い求めるだけでなく、そのパフォーマンスを見て感動するファンも方たちも居ます。
競技としてだけでなく、エンターテインメントとしてのスポーツ。
こうしたものを支えているのが「メディア」であるわけです。
今回はかつてフジテレビのスポーツ番組でも活躍され、現在はフリーアナウンサー・スポーツジャーナリストとしても活躍されております田中大貴さんにお越しいただきました。
世の中にとってのスポーツの価値とは?
最初の質問として世の中にとってのスポーツの価値を聞かれた時、田中さんは突然エイベックスのビルについて話を切り出します。

かつて浜崎あゆみさんやEXILEなどを輩出したエイベックスは音楽でビルを建てました。しかし、スポーツはまだ建っていないという事実は確かにあります。
しかし、感動を与えるということと人々を集客させるという点において、スポーツも音楽も同じエンターテインメント産業として同じはず。
そして、ビジネス的な面から切り分けてみてもスポーツというのはまだまだポテンシャルに溢れた産業と言えるわけです。しかしながら、日本ではそれが遅れているというのが事実としてあります。実質的に「プロ」として生活できるのが野球くらいですからね。
近年では、サッカーを紹介する番組が地上波での放送を終了し、他にもスポーツ中継は大きなイベント以外でも低迷しているのが現状(現在、サッカーの日本代表も60%をたたき出した時代から、現在では10%を下回っているのが事実です)。
一方で、スマートフォンなどの発達もありそうした面での伸びしろや、また将来的なポテンシャルの高さがあることも見逃せません。フィギュアスケートでは本田望結さんのように芸能活動と並行して活動している選手もいらっしゃいますし、陸上選手でも神野大地選手のように「プロランナー」として活動される選手も増えてきております。ちょっと前だとプロレスラーも多くテレビ番組に出ていましたが、人気商売だからこそなのかもしれません。
決してオワコンなどと呼ばれるような、そんなコンテンツで無いことは紛れもない事実なんですね。
では、スポーツの価値を高めるにはどうしたら良いのでしょうか。実際に現在ではアスリートが身近になってきていることは見逃せません。
その象徴として昨年より「アスリートYouTuber」も多く増えてきましたが、これには田中さんは警鐘を鳴らします。というのも、現在かつてテレビに出ていたタレントさんが多くYouTubeに流れ、それによってスタッフさんの質も動画の質も圧倒的に高まってしまったため。
「生半可な気持ちでやると『やらなければ良かった』ということに繋がりかねません」とメディアの視点からコメント。
その上で、よりスケールアップさせるために、準備をしておかなければならないことが沢山あると語ります。どうすれば見てもらえるか、スポンサーが付くのか。こうした思考力がないと競技そのものを続けることが難しくなると語っておりました。
発信する力。こちらがとても大切であることを改めて感じますね。
ターゲットはどこで・何のために。志と理念も大切になる。
YouTube一つ、アスリートという個人一つとっても一つのメディアとして思考することの大切さが浮かび上がってきますね。
では、具体的に発展させるためには?
スポーツというのが世間ではどのように見られているかと言いますと、実際に人間の生活において「必ずしも必要でないもの」ということを認識しなければなりません。バブル崩壊後、多くの企業スポーツが採算が取れないという理由で廃止されました。

これはかつてバスケットボールのノンフィクション小説で有名な「ファイブ」でも取り上げられた有名な話ですね。ですが、田中さんはどうもそうした考えではないようなのです。
むしろ近年はどの企業も人材難のため、スポーツを頑張っていた人や現在スポーツを頑張っている人たちなどのために機会を作り出したり。むしろ企業側が求めているようなのです。
実際に田中さんもそうした部分の業務に現在携わっているのだとか。
その中で痛感したのは「リスペクトをされる」ということ。人として評価をしてもらうことの大切さを説きます。しばしばヨーロッパサッカーやメジャーリーグ、NBAなどで見られた問題児と呼ばれる選手のように、アスリート=野蛮といった風潮や、勝つためなら手段を厭わないドーピング。我の強い発言などがメディアをにぎわせますよね。
ですが、こうした物は必ずしも万人に受けるものではないことも事実です。
かつてACミランなどで背番号10を付けていたクラレンス・セードルフは「サッカー選手は模範となるべき」と語っていたように、尊敬され応援される選手となることもまた、大変に重要だということを知るべきでしょう。

異なる3か国でヨーロッパチャンピオンに輝いた唯一の選手です。
実際にセードルフは現役時代、極めて我が強くその発言がメディアを騒がせてしまうということも多くありました。
しかし、それらは加齢とともに落ち着き、現役引退間際の2011年には母国オランダにおいてナイトの勲章を授与されるまでに至り、ニューヨークタイムズでコラムを連載するほどのインテリとしても名を馳せました。
もちろんすべての選手がセードルフのような成功を収められるわけではありません。ですが、アスリートとして長く活躍し多くのファンからの尊敬を集めたことは紛れもない事実です。
アスリートが現役生活を長く過ごすための重要な秘訣として、田中さんは「多くの人に出会って、夢を語ってほしい」と語ります。培ってきた知識・経験と出会ってきた多くの人々。様々なことを学び感じ取る必要性。そこに人間的な魅力が生まれるわけなんですね。
そして、最終的に個人と個人が多くつながることでやがてビジネスとなって行く。先ほどのYouTubeではないですが、そちらを一つとっても相当の思考が要求されることになりそうですね。
長く続ける。そのためにできることをこれからはアスリートも多く求められてきそうです。
こぼれ話
言うまでもないことですが、田中さんはメディアの仕事をされていた方です(深夜に見る「すぽると」は、自分も楽しみの一つでした)。だからこそ、選手と接する上で気を付けていたことも聞かれると、語ってくださいました。
「また会いたいというのとまた話したいな、と思ってくれることと、インタビュー中は自分を捨てることを意識していました」
と言います。それは自分の後ろ側に何万・何十万というファンが居ることを忘れないということ、その上で一つの質問に対して、相槌を打ち続けていくだけでインタビューが終わって行くというのが理想的な物とのこと。
一つのシーンを切り取っても、どれだけ選手をつぶさに観察できるか。そうした面も「伝える」ということを仕事にされている方の矜持を感じさせる物でした。
一つのエピソードを語るにしても思わず聴き入ってしまうほどの素敵なエピソードが散りばめられていましたね。
そんな田中さんだからこそ、未来のスポーツ業界のために今取り組んでいらっしゃることがあります。
それが「メディアを多く作ること」。元々テレビという多くの方が見られる場所にいたからこそ、アスリートやジュニアアスリートと言った選手たちにスポットライトを当てるメディアを作り出していくこと。これからの時代が「動画」であるということも見越したうえで、現在も活動されております。
更なる活躍と発展に期待したいですね!
まとめ
いかがでしょうか?
近年ではウェブメディアでもTwitter出身の戦術アナリストやライターが多く出てきておりますし、また選手たちも発信するということができるようになってきた時代です。
そう考えますと「発信する」ということにおける意味合いと重要さ。また、誰に届けたいのかを明確にしていくことが大事になると感じましたね。
文字も読む時代から「見る」時代になってきたと言われています。それだけに、自分もまた深く考えさせられる回となりました。
田中さん、この度は貴重なお話をありがとうございました!
アスリートであれば一度は強く望むであろう大舞台、オリンピック。
並大抵の精神力では決して立つことさえままならないどころか、そこに至るまでには多くの難関も立ちはだかります。
そこで今回の超会議では、オリンピアンという大きな経験をされたアスリートがゲストとして現れます。
ロンドンオリンピックにマラソンで出場された藤原新さん
リオデジャネイロオリンピックにレスリング男子グレゴローマンで出場された井上智裕さん
長野オリンピックにアイスホッケーで出場された三浦孝之さん
どの競技におきましても華々しい活躍をされた方々にお話をお伺いしました!
最高峰に「オリンピック」があった
今回、ゲストとして迎えられた方々の競技はいわば「最高峰の舞台」としてオリンピックが存在しております。

例えば、野球であればMLBのワールドシリーズや甲子園、プロ野球というのがあり、サッカーであればJリーグにワールドカップ、UEFAチャンピオンズリーグ。バスケにはNBAにワールドカップという大舞台があります。
それと比較すると、マラソンでは世界陸上という舞台はありますが決して注目度は高いと言えません。
レスリングも吉田沙保里さんといった有名な選手はいらっしゃいますが、必ずしも競技単体が注目されたとは言い切れないですよね。
アイスホッケーもNHLは有名ですが、日本などでは決して有名とは言えません。
その中でやはりオリンピックという最終目標があった。
これはモチベーションとなりますよね。
だからこそ、そこには「苦しみ」もあったわけなんです。
アスリートとしてあった「苦しみ」
発想が柔軟だからこそ、悩み続けた藤原さん
藤原さんが現役だった時代は、実業団に所属しないで陸上選手をやるという発想自体が否定的な物でした。
「最強の市民ランナー」と呼ばれた川内優輝選手が台頭をしてきた時期であり、その中で「プロランナー」という異色の考え方、発想。これらがあったからこそ、思い悩む時期も非常に多かったのでしょう。指導方針が合わずに大学から逃げ出したこともあったと言います。

ただ、その中でずっと持っていたのは「理想からぶれなかったこと」。
日本マラソン界は低迷期の頃の話です。2時間4分台なんて夢のまた夢なんて言われていた時代でした。
そこに藤原さんが新風を吹き込む一つのきっかけになったと、個人的には感じております。
泣きながら練習し、大きな舞台と知った井上さん

一方で井上さんは、オリンピック代表候補となるまで以外にも「注目されずに伸び伸びとやっていた」と振り返ります。ただ、オリンピックともなると、周囲からのプレッシャーも大きくなるもの。
「大学生に追い込まれて泣きながら練習していましたね……」
と当時を振り返った井上さん。ただ、そこからそれだけオリンピックとはすごいものなのかと自覚し、乗り越えたと続けます。
「レスリングではミーティングはやらない」という井上さん。だからこそ、自らで感じて乗り越えることの大切さを知りました!
「人生で一番苦しい8試合」。崖っぷちからつかんだ三浦さん
三浦さんが出場したアイスホッケーは、決して日本では知名度も高くなく、強豪国とは言えません。最初で最後のオリンピックになるだろうなと感じていた三浦さんだったのですが、なんと代表の選考から一度外されてしまいます。

ただ、当時日系人選手を多く帰化させて強化を図っていた際、パスポート上の関係で選手に欠員が出たことから再度招集がかかります。
「1つのミスも許されない」と気迫たっぷりに臨んだ三浦さん。ただ、メンタルコーチから「今あなたは楽しめていないのでは?」と指摘されます。
ハッとした三浦さんはそこから吹っ切れ、非常に良いパフォーマンスを見せて長野オリンピックの日本代表に選出されました。なるちゃんもこれには強く同意。苦しくて辞めたくなった時に楽しむことを思い出したのだとか。
三者三様、様々な葛藤の中でやられてきたアスリートの苦しみを知り、そこから乗り越えてきたということがとても素晴らしいと私は思います!
では、そんな重圧をはねのけて、オリンピックという舞台へと辿り着いたアスリートの思考とはどういうものなのでしょうか?
オリンピックは大きくなり過ぎた!?

後半戦は、オリンピックに挑んだところから、オリンピックそのものへの指摘も相次ぎました。
「謝らない」藤原さんの極意とは?
藤原さんは仮に結果が出なくても、メディアの前では「謝らない」ことを信条としておりました。その真意は自分を卑下しないということ。失敗に対して「今日これを学んだ」という風に切り替えることができること。
あえてメディアの前で反感を買ったとしてもポジティブに前向きに考えられる人が大きな舞台で活躍ができると藤原さんは考えております。メディア対応一つで大きく変わってきてしまうのが世間です。
ただ、その中でも自分をしっかりと持ちぶれないからこそ、藤原さんは未知の世界からオリンピックという大きな舞台にたどり着くことが出来たのでしょう!
さらに「オリンピック」という価値に言及されると、北京オリンピックでは補欠だった経験と、ロンドンオリンピックでの経験も踏まえ「価値を相対化した方が良い」と話します。
オリンピックが全てなのではない、という価値観。
藤原さんが「プロランナー」というシビアな視点だからこそ、オリンピックでないと注目されないことへの警鐘でしたね!
負けるという恐怖を払い続ける井上さん
トップでいるとすごくしんどい。4年に1度という機会だからこそ、重みを語ってくれました。
井上さんはそういった意味で藤原さんの「スーパーポジティブ」に賛同しました。
リオデジャネイロオリンピックで吉田沙保里さんは「最強神話」が崩れて銀メダルとなったのですが、その際、吉田さんがこぼしていたのは「負けることへの恐怖」でした。国際大会で200を超える連勝記録を持ち、輝かしいまでの栄光を手にしてきた吉田さんだからこそ感じたのかもしれません。
ですが、井上さんも日本トップの選手となっていくにつれて格下の選手に負けることも経験し、次第に負けることへの恐怖に気が付きます。
常にポジティブでいるというのはなかなかに難しいもの。
しかし、それが分かっているからこそ、井上さんは藤原さんの考えに強く賛同したのでしょう!
また、レスリングという注目をされづらい競技をやっているからこそ、井上さんはオリンピックというものはとても重たいものになっていると指摘。
レスリングが日常的に陽の目を浴びることが少ないからこそ、そのように感じられたのでしょう!
求められていることを見抜き、重みを大切にする三浦さん
三浦さんは唯一、お二方と違い団体スポーツの出身。だからこそ、選手として求められていることをはき違えないようにしないといけないと語ります。
「トップの選手は失敗しても許されますが、ぎりぎりのラインに居る人は『自分に何ができるのか?』を分析して、監督・コーチの考え方を聞いて理解し、落とし込んでいくということをしていました」
団体競技として「自分がやりたいこと」と「求められていること」というのは得てして異なるもの。受け入れることもとても勇気がいることです。
なるちゃんも現役時代にそれを感じたようで、それを聞かれた時「だって浅田真央ちゃんには勝てないもん!」となり、アスリートもそう思っていたんだなと個人的に思わずうなってしまいました。
また、オリンピックの価値について触れられた際には藤原さんとは異なり「絶対的な価値もある」ということを言及。
日本においてアイスホッケーという競技がマイナーなものであるからこそ、こうしてスポットライトを浴びるチャンスでもありますし、心を一つにすることができるということも含めてオリンピックの価値を熱弁してくださいました。
オリンピックという世界的な大きなイベント・祭典を行う大チャンス。
ぜひとも個人的には開催をしてほしいですよね!
まとめ
三者三様の意見が出た、今回のスポーツ指導超会議。スポーツで培ったことを活かしていくのもまた、三者三様でした。
スポーツをビジネスに!藤原さんの想い
「スポーツをスポーツ以外で語ろうとするって、ぼくとしてはあまり好きではないんです」と語る藤原さん。それはビジネスとしてアスリートが成功して初めて言えること、という彼なりの信念がありました。
だからこそ、未来の後輩へと向けた言葉があります。
「稼いでほしいんです。ちゃんと競技で食えるってことを大事にしてほしい。ビジネスを語ることよりも、ちゃんとスポーツをビジネスにしてほしいなと思いますね」
一つの質問、問題に対しても真剣に考え、会話する藤原さんの言葉は、ストレートに刺さるものがありました。
折れずチャレンジする井上さんの原点がスポーツだった
会社員と働いている井上さんは、苦しい時期があった時にそこで辞めない・折れなかったのだと言います。それは振り返ってみるとスポーツの中で培ってきたチャレンジする気持ちは差があるのではないか、と井上さんは語ります。
元より好奇心旺盛な井上さんは、ポジティブに色々なことに挑戦あるいは協力をしてくださっています。
それがまた、多くの人に影響を与えているのは間違いありません!
三浦さんの「土壇場力」はスポーツから生まれた!
長野オリンピック後、31歳で現役を引退された三浦さん。その後は会社員として勤務しながらも、様々なことに旺盛に活動をされてきました。
そうした中で必ずしも順風満帆に来ていたわけではありませんが、それでも折れずに土壇場で力を発揮してきたり、諦めない気持ちを持っていたり。
そうした物がスポーツで培ってきた力ではないか?と振り返ってくださいました。
当然、うまく行くことばかりではなかったかもしれません。それでも折れずに積み上げてきたものの重みもまた、感じることが出来ました。
こうしてみると、三者三様ですよね。
アスリート一人とっても様々な考え解釈があるものなんです。また、競技ごとに関しても様々な解釈と考え方があるのもまた、興味深いと思いました。
藤原さん・井上さん・三浦さん。
今回はお忙しい中、本当にありがとうございました!

皆さんにとって「運動センス」とは何だと思いますか?
例えば同じ身体能力でも「センスがある」人と「無い」人が居ますよね。
しかも、中には運動のセンスが格段に高かったにも関わらず大成できなかった選手が居る一方で、無いと評された人でも後に世界チャンピオンになった・日本記録を樹立した……。
このような実例が山ほどあります。
実際、センスがある人のまねをしてそれで成功ができれば良いのですが、じゃあそれらを感覚だけでなくテクノロジーや教え方で形にできれば素晴らしいですよね。
そこで1月のスポーツ指導超会議では、その「感覚」や運動センスを物理に落とし込む。こうした観点から、スポーツを見ていきましょう。
そこで、感覚やセンスを事細かに突き詰めて作り上げた「バネトレ」。
こちらの考案者でもある、レベルアップスポーツ株式会社代表取締役の池上信三さんにご登壇いただきました!
運動センスとは何だ?
運動センスがあるというのは「世間的には」と前置きをしたうえで、
そうしたことを考えなくても「パッと」できてしまうことを指すと言います。
では、それができてしまう人とできない人の「差」は何なのでしょうか?
そこの答えに「バネ」があった!
「これはぼくにとっての命題で」という池上さん。
それも、池上さんの出発点は「自分ができなかったから」。
キャッチボールさえも顔面で受け止めてしまうほどの人だった池上さんはとにかく人一倍考えて考え抜いたことで、ある結論に達します。
それは「生まれつき」とは思えなかったことでした。「運動音痴は親を恨め」とはよく言われますが、そうではなく後天的なものがあると信じていた時、あることがきっかけでひらめきます。
それは、縄跳びのような跳躍運動をしているときのこと。
「筋肉の短縮・伸長・そのままの運動(アイソメトリック)。だけで構築されているのではなくて、アイソメトリックを柔らかくしたときに跳ねてくるバネで運動が行われているんだということに気が付いたんです」
バネ。これこそがまさしくバネトレの原点だったと言っても過言ではないでしょう。
そこから3年かけてすべての競技の「動き」の定義を確認・分解して再構築した池上さんは、一つ「運動のセンスがある人」のことをこのように表しました。

「自分のイメージと体の動きにずれが生じていないこと」。
これを運動センスがあると評したわけなんですね。その根底には体にバネがあることが根底にあるということ。そこを飛ばして思考すると、運動音痴や運動センスを見失う。
バネを作り出すのがバネトレだと思っていた私も、これは目からうろこでした。バネというものが根底にあることを見失わないこと。とても大切にしたいですね。
では、どうすればその「バネ」の意識を持って運動がうまくなるのでしょうか?
連動はさせる必要がない!?
参加者の中から出てきた意見の中にあった運動センスに関する定義の連動性。
ここから池上さんは、説明を始めてくださいました。
なんと、運動はそもそも「連動」をさせる必要がないというのです。
ウレタンで作られた緩衝材を取り出して折り曲げてみせたのです。

「こうやっても戻りますし、ねじっていても戻りますよね。あらかじめねじる・あらかじめしなるでしょ? これがバネなんですね」
ボールペンの中に入っているバネを思い出してください。グッと押さえつけてもビヨンと戻りますよね(それで何度ボールペンを壊したか分かりませんが……)。
これが野球となると、ボールを投げるときに一回後ろに勢いをつけてから投げます。つまり、身体を連続性のあるばねと定義し、反動をあらかじめつけることができれば、あとはバネの戻る動きを使って投げれば良いだけなのです。
ただ、人間とウレタン緩衝材の違うところは、人間にはいくつもの関節があるということ。これが却って故障の原因となることがあるわけなんです。自ら筋収縮もできるということは反動によって生まれたエネルギーに反する動きもできるわけですからね……。
たったこれだけで、なぜ故障するのかとバネを活かすこと。ここが分かったところで、「アスリートはどのような物理学を学ぶべきなのか」はさらに重要になりますよね。ただ、こちらについて池上さんは「何を学んでも良い」と語ります。
ただここからが極めて重要となります。それは「自分のスポーツに置き換えて考える」ということ。
例えば、現在アメリカで席巻している「フライボール革命」。これはどこから来たかというと、軍事関係の追尾レーダーを応用して作られたスタットキャストと呼ばれるデータ解析ツールによって生まれたと言われております。
こうした科学的な観点や本来全くスポーツと接点のないところから、また新たなる革命が生まれるかもしれませんね。
物理は絶対!根性論は不要!の訳は?
と言いましても、実際に指導になると、物理学上や机上の計算ではこのようになっていると事実を示すことが出来ます。ですが、どうすれば改善できるのかということはやはり指導者の言葉やコミュニケーションの取り方にゆだねられてしまいます。

つまり、最後に気持ちや根性といったものにどうしても依存をしてしまいそうになります。感覚的なものだからこそ、どうしてもそう言う部分に帰結をしてしまうものなんですね。
そこで、なんのために物理学や力学が存在しているのか。まずここからが大切になります。
数字は絶対ではありますが、なぜ絶対かというと「基準」になりうるから。
が、あくまでも「物理は絶対」ですが、それはあくまでもデータ上の問題であって選手個人にとって最適な物はそれぞれ個々人で最適解を見つけていくほかありません。
だからこそ、指導者の方々の様々な成長が求められるわけなんですね。
実際に池上さんが指摘をされているように、指導者の中には自らの経験則だけに則って指導を行う方が多くいるのが事実です。明確な根拠もないままで指導を行うことが、結果として選手たちの成長を阻害してきた面があるのです。
だからこそ、池上さんは指導に携わっている場所においてはそうした「根性論」を排して、スポーツインテグリティ(スポーツにおける誠実性・健全性・高潔性)を保つことに腐心しているとのこと。
既にスポーツでは軍隊のような「根性論」だけで成り立つものではなくなってきております。だからこそ、池上さんは「どういう手順でどういうことを教えればその子が伸びるのか?」というのを脳の構造と思考の回路と体の動きから考える必要があると述べておりました。
「次の時代はみんなで楽しく競技が向上できるように。というのを今取り組んでいる最中です!」
と池上さんが語るように、もしそれが実現できるのであれば、みんなで楽しくレベルアップができそうですよね!
まとめ
いかがだったでしょうか。
池上さんのバネトレ開発秘話・そして次の世代が楽しくそして高いレベルでスポーツを楽しむことができるようにという想い。
そして、指導者たちの更なるレベルアップがより求められていることを痛感した今回の超会議でした。
池上さん、今回はお忙しい中様々なお話をしていただきありがとうございました!

スマートフォンでフォーム解析。かつては「経験」と「見る目」という数字で表れていなかった部分が見える化されていることは紛れもない事実です。それを「見える化」するアプリを開発されてきたのが、株式会社Spotip。
今回も代表取締役社長であります高久侑也さんにご登壇いただき、「時代の進化に合わせたスポーツ指導能力」についてお話をしていただきました!
その前に……。Spotipの説明から!

高久さんは筑波大学体育専門学群を卒業後、“筑波大学発ベンチャー”として2018年にSportipを創業します。
実は筑波大学は元々動作解析を20年以上前から行っており、かつて西武ライオンズを始めとする3球団で日本一を達成した、工藤公康さん(現ソフトバンクホークス監督)の投球フォーム分析にも携わっておりました。
他にも「動作解析」を始めとした、スポーツ科学における第一線を歩んでいる大学でもあります。
実際に「筑波大学にあるデータや理論を大学の先生たちと協力しながら、スポーツやリハビリなどの動きにフォーカスをしてサービスを展開しています」とのこと。
そんな高久さんたちが開発したSportip Proはプロフェッショナルな指導者の方に向けた動作解析のアプリケーション。
では、ここからSpotipがどのようにして選手たちのハイパフォーマンスをアシストできるのかを見ていきましょう!
Spotipから見た「コンディショニング管理」

その前提として、ハイパフォーマンスを妨げる障害は多岐にわたります。
怪我・イップス・バーンアウト・環境の不足。様々ありますよね。その中で大切なのがコンディションを管理するということ、これは何よりも重要です。
それらは、
・トレーニング
・食生活の改善
・成長と食事、トレーニングのバランス
・月経周期の把握
・トレーニングと休養のバランス
・疲労回復
こうした様々な要素を抑えねばなりません。では、動作解析によるコンディション管理とはどういったものがあるのでしょうか。
例えば、いつもと異なるフォーム。他にもいつもよりもトレーニング内容の負荷が軽い。こういったところからコンディションを判断することが可能となりますよね(吉田沙保里選手のコロナウィルス感染はトレーニング中に抱いた違和感からだったと言われております)。
Spotip Proでは、実際にコンディションのチェックを行う機能も付いております。
まずROMテスト、そしてパフォーマンステスト。この2つを実装し、現場の方々に提供をされているとのことです。

ROMテスト
ROMテストは
①関節の動きを阻害している因子を発見する
②障害の程度を判定する
③治療法への示唆を与える
④治療効果の判定をする
以上4つの判定を行うことができるわけです。関節の可動域よりコンディションを確認するROMテスト。
このROMテストはこれまでは手作業で行われていた関係で大きかったブレがスマートフォン一つで解析できるようになり、正確にコンディション測定を行うことができるようになった、というわけなんですね。
それによって、野球の指導では投手のケガを高精度に予測することが可能となり、未然に怪我を防ぐことができるようになったのだそうです。また、ランニング指導では競技者に合わせた指導を行うことができるようになりました。
他にもサッカー選手のパフォーマンス力向上にも役立っているとのこと。
パフォーマンステスト
またジャンプテスト、とも言われるコンディショニング管理のテストは下肢の筋発揮能力を確かめることで、ジャンプした時の加速度からハイパフォーマンスを予測することができるというもの。
特にRJと呼ばれる「リバウンドジャンプ」とCMJと呼ばれる「カウンター・ムーブメント・ジャンプ」の二つを計測することが可能という優れものなんですね。
「リバウンドジャンプ」は簡単に言えば、時間をできる限り長くして飛ぶ競技、例えばスキージャンプなどのような瞬発力が求められる競技で重要視されると言っても良いでしょう。
一方で「カウンター・ムーブメント・ジャンプ」はいうなれば「垂直跳び」。陸上選手の短距離や跳躍選手は非常に個の能力が高く、またウエイトリフティングやビーチバレーの選手もこの競技での数値が高かった。このような報告がアトランタオリンピック日本代表選手のデータより明らかになっております。
この二つを同時に評価させることがSpotipでは可能となり、選手に合わせた指導がより容易になるのだというのです!
高久社長曰く「簡単に計測ができる!」というのが本当に嘘みたいなほど、ここまでテクノロジーが進化しているのが、私自身もとても信じられないほどです。
では、この数値をしっかりと理解したうえで指導を行うことが必要となるわけですが、具体的にトレーニングなどにどうやって落とし込むのか?
この課題をさらに高久社長は語ってくれました。
トレーニングの負荷やランニングフォームも「見える化」できる!

近年、トレーニング方法はPBTよりもVBTが重視されていると聞きます。あらかじめ決められた量をこなすVBTでは、デメリットも多いことで知られます。日常によりコンディションにばらつきがある我々にとってはむしろ実際の負荷なども異なり、決して信頼できるデータを取ることができないからなのです。
そのため、既定のスピードより外れた場合負荷容量を調節するPBTと呼ばれる手法が大変注目されています。実際にスポーツ科学でも同様のウェイトトレーニングを行ったことによって、パフォーマンスの向上が認められたという結果が大きく現れ、より効率よくパフォーマンスを高めることに繋げられることもトレーリング理論で証明されつつあります。
と言っても、スピード計測のためには相当なコストが必要となるものです。
実は、Spotip Proはこうした速度も計測が可能。実際にスピードと負荷がどれだけかかっているかも見える化することができるようになるなんて、驚きですよね……!

他にもランニングに関する機能も実装されており、その選手に合った理想的なフォームも解析が可能となっているんです。怪我の予測・ランニングフォームのフィードバック・おすすめの靴まで教えてもらえるのだとか。
動画撮影を行えば、トレーニングメニューの提供や独自のトレーニングメニューの作成やトレーニング履歴の共有にフォローアップをも容易化させるだけのものとなっている。
なんて、なんとも至れり尽くせりなアプリになっているわけですね!
高久社長曰く「毎週アップデートをしています」とのことですが、さらに進化を遂げるとこのアプリなしでは誰もトレーニングできなくなってしまうのでは……。というくらい私自身も進化の速さには驚かされました。
まとめ
驚きました。
自分でも改めて今回こちらを書かせていただくにあたりまして、ここまで進化を遂げていたとは……。もちろんその成長速度こそが研究ノウハウの蓄積などを含めてSpotipという会社の特色なのかもしれませんね。
日本のスポーツはしばしば「海外と比べるとフィジカルで劣る」ということを多く指摘されてきました。しかし、そうであるならば「技術」の観点と「科学」という観点で世界と戦ってきたという経緯があります。
当然、トレーニングも最先端テクノロジーが求められておりますが、その中で高久社長をはじめとしたSpotipの皆様がその先陣を切ってくださっていることが分かる今回の超会議でした。
筑波大学という多くのエビデンスを持たれている研究機関と、それを容易に利用できる時代。選手にも指導者にもたまらない時代がやって来ていると感じております!
高久社長、今回もありがとうございました!









