「がむしゃら・全力・楽しむ」で15社のオーナーに!

アスリートにとってセカンドキャリアはとても大切なものです。特にそれ一筋で取り組んできた方ならば尚のこと。

今回は15社のオーナーを務める起業家の大木貴之さんに引き続きインタビュー。

現在のご活躍についてお話をしていただきました!

気が付いたらてっぺんにいた感じです

 現在、大木さんの主な仕事は事業再生。

 実はこうした事業を行うに至るまでは、現役選手の頃からの地道な活動があったのだとか。

「週に一度休みの日があったので、毎週東京にアポイントを取りに行っていました」

 という大木さん。なんとこの頃から経営者にアポイントを取って、話を聞きに行っていたのだとか。

「行動はその頃からしていましたね」と大木さんは当時から振り返ります。実際、現役時代から自らの行動を省みて行動に移すことができる選手は極めて稀です。そうした点からも、大木さんは現役時代と変わらず自ら「どうすれば良いか?」を考えて実行する力を持っていたのかもしれません。現役時代のインタビューでもお話をされていたように、とにかく継続すること、自分で物事を考えることの大切さが、お話の中からも節々に感じることができました。

「元々営業が得意でした」

 このように語る大木さんは引退後に営業代行をやっていたところ、こちらが評判となり、企業の方からオファーを頂戴することが多くなったのだそうです。こうした中で営業よりも営業の「企画」を立てることが得意と気が付いた大木さんは、大きな企業ではなく小さな小売りの会社を高橋さんが出資することで経営に入り、売り上げを上げていく。

 こうしたことも高橋さんの行動から生まれ、気づき形となって行ったのだそうです。

 アスリートの方の何よりの魅力はその「行動力」と「人脈」。大木さんはその長所を最大限に生かして、目の前のことを全力で取り組んできたそうです。それがわずか3年で15社のオーナーとなった何よりの証なのかもしれませんね!

 さらに大木さんは将来的な展望について聞かれると、「これだっ!っていうのは無いんですけど、もし今後自分が年商100億円を超える企業のオーナーになれば、スポーツ選手からすると夢はあると思うんです。そんな存在になれたらと考えています」とお話してくださいました。

 とはいってもそれは義務というよりも「なれたら」という感覚が強く、端々から感じているのは「それが楽しいからやっている」ということを大木さんは語ります。

「登山に例えると、みんな富士山を目指して登っていく人がアスリートって多いんです。だけれど、自分は楽しいから登って気が付いたらてっぺんにいたって感覚ですかね」

 と今に至るまでのお話をしてくださいました。

 アスリートのセカンドキャリアというのは実は私たちが想像している以上に過酷なものと言われております。最近ではアスリート就職支援というのも多くみられるようになってきましたが、やはりこうした現役時代から将来を見据えた活動をすることはとても大切なのでしょうね。

 実際にサッカー選手であったクラレンス・セードルフさんも、現役時代から「ニューヨーク・タイムズ」でコラムを掲載していました。しかもサッカーのことだけでなく、政治や経済の事、世界のことと様々な物事に言及された内容は大変に評判だったようです。

 こうして、知識・行動などを蓄えていくことは大変重要です。そして、それを楽しみながら打ち込むことができた大木さんもまた素晴らしいですしそうした姿勢こそ大切と言えるでしょうね!

自分の今のポジションを上げる。影響力を求める大木さん

 とは言いましても、今世界中はコロナウイルスによって多くの人たちが苦しんでいる状況です。特に経済的な面で言うならば最悪の景気後退と言われている中、大木さんは泰然自若という言葉が良く似合うたたずまいでした。

というのも「これからどうなるか」ということにはフォーカスをしていないから。この先どうなるか、という不安よりも自らを見直す。こうした時期にしていたようでした。そこで辿り着いた結論は「自分の今のポジションを上げる」ということ。

「フォロワーが3000人の人よりも3万人や30万人の人が、言った人の言葉のほうが重みがあるじゃないですか。自分のポジションを上げるということにフォーカスして動けば、自ずと見えてくるのかなと思いますね」

 と語るように、今は自らの影響力を上げられるように自分磨きをされているようです。アスリート、という立場から経営者という立場に変わり、そしてより影響力のある人となるために努力する。

 前述のセードルフさんは「フットボーラーは模範となるべき」と語っているように、自らの社会的な責任と自らの置かれている立場を自覚することはとても大切であると説いています。

 大木さんのようにバレーボール選手として成功を収めた方が、こうして経営という厳しい世界に入り、そして大きな成功を収めるということ、そしてアスリートたちにとってその一つの道しるべにならんとするために日々邁進されているのでしょうね!

 だからこそ、今起業したい人に向けては「起業しましょう!」と語ったのも、チャレンジしたいと思っているなら積極的にやるべきと感じているからなのかもしれません。

まとめ

 インタビュー中には「楽しむ」ということと「がむしゃらに」ということ「全力で」という言葉が印象的だった大木さん。それはやらされた練習ではなく自らで納得した上で全力で取り組まれてきた現役時代の事、引退後から成功のためにがむしゃらに頑張ってきたこと、そしてそれらを楽しんでいたということ。

 そんな大木さんを道標として、多くのアスリートが新しい道しるべとなってくれることでしょう!

 次回はそんな大木さんにビジネスで成功するためのノウハウを伝授。お楽しみに!

プロフィール

大木貴之

1988年栃木県生まれ。中学時代からバレーボールを始め、足利工業大学付属高校(現・足利大学附属高校)在学中に、さくらバレー(全国私立高等学校男女バレーボール選手権大会)で優勝。

身長180センチながらも跳躍力を活かしたスパイクを活かし、宇都宮大学在学中からV・チャレンジリーグ、「つくばユナイテッドSun GAIA」に所属。

2007/08シーズンの最優秀新人賞を受賞。

2010年東レ・アローズに入団。以降、黒鷲旗全日本男女選抜バレーボール大会など数々の公式戦で優勝を果たし、2017年にはV・プレミアリーグ、天皇杯・皇后杯全日本バレーボール選手権大会で優勝。同年に退団し、株式会社SPECを立ち上げて代表取締役を務める。